◆声の仕事は、二十年以上前のラジオドラマから---声優になられたきっかけは?
それがですね、きっかけというのは特に・・・。
最初はやっぱり芝居が好きで、舞台の方をやっていたんですが、ご存知のように舞台ってのは、なかなか食えないんですよ。それで芝居をやりながら、アルバイト的にラジオをやったりテレビをやったり。今声優をやってる方達はね、ほとんどが舞台の方なんです。で、いつの間にかこちらが専門になってしまったと。特に声優になりたくてなったということじゃないんですよね。---お芝居は昔からお好きでしたか?
そうなんです。高校在学中に、児童劇団に入ったんです。役者になりたかったですね。
学生時代から演劇部で芝居をやって、それからとりつかれたということですかね。---どんなお芝居がお好きですか?
僕はね、わりとオーソドックスな、いわゆる新劇といわれる芝居も好きですけどね、軽いタッチのミュージカルとか、商業演劇、ああいう芝居も好きですしね。どちらかといえば楽しいのが好きです。---声のお仕事を始められたのはいつ頃ですか?
もう二十年以上前になりますね。ラジオドラマでは昭和三十年だったと思いますが。『源九郎物語』という義経の子供の頃のお話で、友達の竹丸の役をやりました。---アニメでのデビューは?
初めて主役をやったのが『佐武と市』、それから『タイガーマスク』。あのへんは続いたんですよ、『男一匹ガキ大将』とかね。
主役でないやつはいっぱいやってたんですよね、『マッハGoGoGo』とか。『おらァグズラだど』では大平透さんがグズラをやって、僕はグズラのパパをやったり。いろんなのがあったんですよ。◆三枚目のほうが役者としては楽しいですね
---やりがいのある仕事とか、あまりやりたくない仕事とかあるんでしょうか?
うーん、特にやりたくないなんてものには、お目にかかったことないんですけどねぇ。
やりがいがあるというと・・・最初に台本を読んで、それでキャラクターを見て、「これはどういう風に作ろうか」って悩むんです。その結果として、納得のいく仕事が出来たなと思える作品というと『ガンバの冒険』がそうでしたね。
そういえば先日、『佐武と市』のディレクターと顔を合わせて「あれは良かった」なんて二人で言ってたんですけどね、ただ時期的にちょっと早すぎた作品だった。夜9時からという時間帯も遅かったし、今の劇画調の先駆けということで。良い作品だったと思うんですけど。---これからの出演のご予定は?
この夏、劇場公開する『ヤマト』のパート2(『さらば』)に7月始めから声を入れることになっているんですけど、今度は前の劇場版と違って完全なオリジナルの話だから、ずっと満足のいく出来になると思いますよ。期待していただいて良いと思います。---他にラジオやテレビでは?
前にやった『750ライダー』を今度また、やることになってるんです。ああいう漫画があるってことを、前は全然知らなかったんですけど、面白いですね。---原作の漫画は、よくお読みになってるんですか?
普通はあまり読みませんね。絵の付いた物よりも活字になった台本の方が読みやすいもので・・・。---最近、三枚目的な役が多くないですか?
そうですか?昔からわりに三枚目が多いでしょ、僕。
三枚目のほうが役者としては楽しいですね。いろいろ作ってやれるから。---難しさという面ではどうですか?
ええ、それはやっぱり難しいですよね、三枚目のほうが。
三枚目ってのは色付けをいっぱいしないと特徴が出てこないですから。楽しくもあるし、難しくもありますね。---富山さんご自身は二枚目ですか?
僕ですか。三枚目じゃないですか(笑)◆うちの子供も『ヤッターマン』を喜んで見ています
---「敬」というお名前に特別な意味があるんですか?
いえ、別にありませんよ。いっそのこと「県」にすれば「富山県」になるから面白かったかもしれませんけどね。本名の「邦親」というのが難しい字だったもので変えたんですけど。--釣りがお好きだそうですが、最近は行かれますか?
忙しいので、あまりやってなくて・・・道具がほこりをかぶってますよ。まあ、たまに行くときには家族と一緒に楽しんでます。うちの奥さんも好きなもんですから。---釣った魚は食べられるんですか?
ええ、自分でナイフを使って料理して。
でもあまり大きいのは釣れたことがなくて。僕が釣ったのはせいぜいこのくらい(指で10センチほどを示して)・・・・。---他にご趣味は?
レコードをよく聴きますね。落語が好きなんだけど、寄席へはあまり行けないから落語のレコードを集めて。あとクラシックもちょっとありますけど、一番多いのがジャズ。ジャズは大好きなんです。
この間、NHKの『若いこだま』で声優の特集があったでしょう。あの時に、自由に曲を選んでくれといわれて選んだら、もう古い曲ばっかりで。そしたら山田康雄さんも同じで、二人とも古い曲。「中年だなぁ」って。---お年はかくしていらっしゃるんですか?
別にかくしてはいませんよ。あちこちでよく言ってるし。まぁ、中年の一年生というところでしょうか。三十を過ぎたらもう中年ですよ(笑)---お酒は日本酒を?
洋酒が多いですね。何でも飲みますけど。---タバコはかなりお吸いになるようですね。
これ(峰)を一日に2箱ぐらい。別に喉にはこないけど、やはり身体には悪いんでしょうねぇ。---お子さんはテレビを見て何か言いませんか?
もう、うるさいですね。僕がどんなのやっててもすぐ判るのね。子供って耳がいいのかな。---お子さんのお気に入りの番組は?
『ヤッターマン』が一番好きで、狂喜してみています。---富山さんも最近いろんなところで歌を歌われるようですね。レコードをお出しになる計画は?
そうですねぇ、歌は好きですよ。でも、シングル盤では出せないから、やはり何かのキャラクターで歌うとか、そういうことでないと、ね(笑)◆ファンレターはできるだけ読むようにしています
---サインの書き方は、工夫なさったんですか?
いや別に。工夫したサインってのは読めないって言うけど、僕のは読めるでしょう。---初めてサインを頼まれたのは?
『タイガーマスク』の頃でしたね。その頃は、サイン会に来るのが小さい男の子ばかりで、今とはかなり違いましたね。---スタジオ見学者などは?
全くありませんでした。そういうのは、『ヤマト』あたりからじゃないですか、女の子が圧倒的になって。『ヤマト』の最終回の録音の時なんかは、もう凄かったですよ。見学者が副調整室に一杯になってもまだ入れない人がいて。まあ、最終回であとがないから特別にと、ディレクターがスタジオの中にイスを並べてくれて、本番前まで見学させてあげたりしたんですよ。---『ヤマト』のお仕事自体はどうだったんですか?
もうたいへんでしたね。直前までほとんど絵ができてなくて、できていたのは全体の4分の1くらいですか。でも放送には間に合わせなければならないので、線画やなんかを見ながら入れたりで。あとで見ると、口のパクパクが合っていないところもずいぶんあったでしょう。やはりそういうのは嫌でしたね。---ファンレターはどのくらい来ますか?
今は一日にすると8通から10通ぐらい来ますね。アイウエオ順に名簿を作ってるんですよ。寝る前とかにできるだけ読むようにしてます。---返事はお出しになるんですか?
ええ、可能な限り書いてますよ。でも前からのがたまってるんで、とても全部というわけにはいきませんけど。もうダンボールで5箱ぐらいはたまってて・・・。---この先、どういうことをされたいですか?
中年を過ぎて、アニメの主役なんかができなくなって、ゆっくりしたら、また舞台をやりたいですね。白髪の老人とか、父親役とか。舞台はとにかく時間をとるので、今はできませんけど。