作製のきっかけ


 ここには、富山さんのファンサイトを立ち上げた経緯と、今後このサイト内にアップしていく予定の情報及び品物について書かせていただいてます。



 2003年3月中旬のことでした。
 ある古物市場で富山敬さんにまつわる品を見つけたのですが、それは富山さんが出演された作品の台本やムック本などダンボール一箱分、数にして100点以上はあると思われるものでした。
 古物商のご主人の説明では「富山さんご本人が使用した台本も入っている」とのことで、確かに見覚えのあるサインが表紙に書かれてある台本や、富山さんのシングルレコードの見本盤などが入っていました。
 私は「こんなものが一体どこから?!」と思いながらも、とりあえずそのダンボール箱を買い取りました。

 その箱が我が家へ宅配されるまでの数日間、その品についてあれこれ考えてみたわけですが-----

 それだけの品を収集した元の持ち主は、かなり熱心なファンだったことには間違いないし、今回手放したということは、"情熱が冷めて手放した"、ということも考えられるけど、もしかして何か特別な事情があったのだろうか・・・もしや持ち主が亡くなられて御家族が処分された、、、という可能性も無きにしもあらずだな・・・。

-----など考えていた頃、その箱は届きました。

 品物を一つ一つ確認していくうちに、どうやら富山敬さんご本人のお宅から出された物だということが分かりました。
 古物商のご主人に入手されたルートを問い合わせてみると、やはり別の古物市場で取り引きされた物らしく、お店に持ち帰って箱の内容を調べているうちに「これは、もしやご本人の・・・?!」と気付かれたそうですが、遺品ということもあり迷った末、バラバラにせず一箱丸ごと売りに出されたようです。

 私も一生に一度あるかないかという衝撃に、生まれて初めて頭の中が真っ白になるという体験をしました。
 丁度その日はお彼岸ということもあり、すぐさまお線香とお花を買いに走りました。

 やがて時間が経つにつれ、「私ごときが持っていていいんでしょうか・・・」という気持ちにさいなまれ、この一件を知人に相談してみました。
知人は「ご家族にとっての大切な遺品とは、また別なものなのだろうから、その品はファンとして大切に持っていてあげればいいのでは」と言ってくれたので、「なるほど確かにそうかもしれない」と思い、以後迷うことなく私のもとで大切に保管させていただいてます。

 それから一ヶ月以上経った頃でしょうか、テレビで『ビバリーヒルズコップ』の再放送があったのですが、主役のアクセル刑事(エディ・マフィー)の吹き替えは富山さんでした。
 その数日後、映画関係サイトの掲示板をのぞいてみると『下条アトムと山寺宏一は知っているが、今回のアクセルの声優は誰だか知らない。馴染みがなくて違和感があった』などの書き込みがチラホラあり、その書き込みに対してどなたかが富山敬さんについての説明を丁寧に書かれていましたが、そのやりとりを見た私は「・・・富山さんの声を知っている人間はこれからどんどん少なくなっていくのかなぁ・・・淋しいなぁ」と時の流れを感じずにはいられませんでした。

 その頃からです、ここを立ち上げようと思ったのは。
 富山さんの台本にはどれも、ご自分のセリフの箇所やアクセントの記号、キャラクターの感情など、様々な書き込みがされています。
 大ベテランと呼ばれるようになられてからも、演技に対する真摯なスタンスは一向に変わられなかったのだと、改めて垣間見ることができます。
 そのような貴重な品を私一人だけで拝見するのではなく、他のファンの方々にもお見せした方がいいのではないか、と思う反面、それらをサイト上に掲載していくことに対して、ご本人はどう感じていらっしゃるのか、こればかりはお気持ちを伺うこともできず悩みに悩みましたが、悩んで答えが出るわけでもなく・・・。  


 まだまだ全国には富山さんのファンの方がいらっしゃると思います。
ただ、何かしらきっかけがないと記憶に蘇ってこなかったり、しだいに思い出として薄れていくのは仕方のないことかもしれません。

 このサイトが、富山敬さんのご活躍を思い起こされるほんの少しのきっかけになれば嬉しく思います。
 また、そのような活動に富山さんのご遺品を使用させていただくことで、ご本人には喜んでいただけるのではないかと、切に・・・切に願いながら、ファンサイト【Myself】をスタートすることにいたしました。
 これからもよろしくお願いいたします。


2003年6月6日