ロマンアルバム31『宇宙戦艦ヤマト2』3月

メイン声優座談会1

富山敬 麻上洋子 仲村秀生 伊武雅之(現・伊武雅刀)


■思い出つきない昭和49年 ヤマト発進の頃■
司会:ヤマトに出演されたきっかけは?
麻上:私はオーディションを受けました。その現場でキャラ表を見せていただいて、セリフを喋ったんです。
富山:すぐに決まったの?
麻上:いえ、何週間かあとになって、決定のお返事をいただきました。
富山:僕はオーディションはしなかったなぁ。確か最初からアフレコ現場へ行ったように記憶してるよ。その当時は、まさかこんなに爆発的人気番組になると思わなかったし、特に意識もせずに参加していたね。
仲村:僕はちょっと変わってるんだよ。実は事務所から「新番組でアニメのレギュラーがあるから行ってくれ」って電話があって。飛んでいったら誰もいないんだよね(笑)音響監督の田代さんが一人でダビングをやってるだけ。聞いてみたら、「実は島大介役の某君がまだ慣れていない人だったので、その代わりに」ということだった。言ってみればピンチヒッターというわけで。
司会:では、一人で録音したんですか?
仲村:ええ、皆さんのをイヤホンで聞いて島のセリフだけ喋ったわけです。だから皆さんとは、第2話からのお付き合いで。しかしキャラ表を見たときはびっくりでしたね。
富山:なんで?
仲村:なんせえらく若いんだ!年令にこだわるわけじゃないけど、あまりにも若すぎたよ(笑)
伊武:僕はその島大介でオーディションを受けたんです。若さといい顔といいピッタリでしょ。(とチラリと仲村さんを見る)
仲村:なんだ、何が言いたいんだ?(笑)
伊武:まあまあ。で、その場でこっちもやってみないか、といったわけで、デスラーのセリフも喋ったんです。
富山:若かったものね。20歳代だろう?
伊武:もちろんですよ(笑)
仲村:洋子ちゃんも若かったよね。20歳になったばかりだったかな。
麻上:20歳ちょっとすぎ。
仲村:あの頃は会うたびにからかってたよね。セリフ回しがどうのこうのって。今じゃ恐れ多くて言えない(笑)
麻上:言ってやって下さい(笑)
司会:特に思い出に残っているセリフはありますか?
富山:えーと、パート1はほとんど忘れちゃったなぁ。『さらば』では、艦長のレリーフに語りかけるシーンと、最後にユキに話すセリフだね。やっぱりラストシーンは思い出に残っていますね。
麻上:私はやっぱりパート1です。第26話のコスモクリーナーを作動させるシーンで 「だって、古代君が死んじゃう!」って今でも覚えています。絵もパート1の方が好きね。
伊武:僕はパート2になってから「アレ?」と思うところが出てきた。パート1の時、自分なりに掴んでいたデスラー像が、パート2になって少し変わった感じなんだ。例えば『デスラーなら、こうは喋らないだろう』というところがあるんだよね。
仲村:それぞれのキャラクターの役柄が違ってきたじゃない。パート1とパート2では、抵抗を感じる部分もあったもの。僕等自身も多少ヒロイックになりすぎたかもしれないな。
伊武:そういった意味では、あのお風呂の中のシーンなんか凄く面白かった。あれがデスラーなんだと思うね。
富山:しかし思えば、あの当時から絵がなかった。ほとんど白味でやってたよね。
仲村:これはアニメ全体に言えることだけど、あれではいいものを作るのは難しいね。作画の人達の苦労を知った上で、なおお願いしたいところですね。
富山:セリフが死んでしまうんだね。ブレスとか、ニュアンスとかが違ってくるし。
伊武:でも、オンエアには間に合っちゃうんだ(笑)
仲村:ファンの人は、それほどシビアに見てないのかな?
司会:その点では苦労が多かったわけですね。
仲村:僕等も苦労したことはしたけれど、音響監督さんが苦労してたでしょうね。だから僕は、ヤマトといえば田代さんの顔を思い出すんだ。
富山:グチや文句をいわない人ですね。
麻上:どこから文句がでても、全部自分のところで止めちゃって、一人で処理してくれて・・・。
司会:スタッフの方とは、色々とお付き合いされたわけですか?
仲村:あまりなかったんじゃない?
富山:パート2の時は、スタジオでお寿司とって食べたりしたよ。
仲村:そうだね。東北新社だったけれど、読売テレビの福尾さんや、ディレクターの石黒さんが来てニコニコして見てたっけ。チームワークも良かったし、ムードも良かったね。



次へ